3.7 入院
3.9 オペ
3.18 退院
3.20 礼状
広島大学病院 9階スタッフセンター東
先生、看護師の皆様
入院中は大変お世話になり有難う御座いました。
老齢になってからの手術、入院は、不安と戸惑いと自信喪失の連続でした。なにしろ体内から二本のチューブが出ているのが見えるのですから。しかも一本は、あろうことかPの尖端から差し込まれています。とほほ、なんじゃこれは。
けれども、消沈する老体を受け止め、掬い上げてくれたのは、先生と看護師の皆様でした。医学の凄さを体験し、医学の温愛が老体に注がれるのを実感しました。だから一日の24時間は、今まで経験したことのない長さでした。冗長で退屈なのではなく、隙間無く充実していたのです。その源は皆様の声、言葉、笑顔でした。
老齢の男は例外なく癖のある難物です。時には猛々しいライオンのように、時には捻くれた狸のように、手に負えないと言ったらありゃしません。ところがそのどの個体も皆様によって、従順なヒツジに、温和なウサギになって行きました。
男全般をおっさんと呼ぶなら、遥洋子が番組でこんなことを言っていました。「温泉地の旅館に泊まると、女湯と男湯とを日替わりで交代している所がある。絶対に止めて欲しい。おっさんの入った後は、何が浮いてるか分からん。汚くて入れるか」
そのおっさんの身体を綺麗にして、しかも、痛い所はありませんかと声を掛けてくれるのですから、おっさんの感激は尋常ではなく、消灯後の病床で手を合わせていました。
この思いをお伝えしたくて、ここにお礼のお手紙を差し上げます。
心より感謝致します。
2015年3月20日