中外日報 昭和6年2月1日 第六面
「支那の功徳林 佛檀に禮拜しなければ 飯を食はせない料理屋」
支那の南方へ行くと功徳林といふ精進料理屋が都會には必ず一つ位あるものである。
上海にもあるし又寧波にもある。そこでは佛檀が祀つてあつて飯を食ふ前には必ず
禮拜をしなければならないことになつてゐる。禮拜をしないやうな手合は始めから
寄りつかないんだが、料理屋の方でも禮拜をしなければ料理を出さないことになつて
ゐる。佛教の講演の後とか何とかで會食をする場合居士達がこの功徳林に集ることに
なつてゐるのだ。日本にもこんな料理屋が一つ位あつてもよささうだし、又さういふ
風に變つてゐると却つて算盤が持てるかも知れない。
北京には六味齋といふ精進料理屋があるが之はさういふ制度ではなく普通の料理屋で
ある。又料理のやり方も違つてゐる。矢張り精進の料理は南方の方がうまいやうに思
はれる――とある黄檗の坊さんの話である。
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中外日報社発行の中外日報のマイクロフィルムより
複写(35円)