その著『上海霖語』と『上海夜話』に、『華厳経疏論纂要』について
後に中外日報紙上でこの事を読んで知ったのだが
當時の中外日報にはその模様が報じられて居った
と記している。
中外日報社は京都にある新聞社で、120年の歴史をもつ
宗教文化専門紙として120年の紙齢を重ねる。タブロイド判12頁の新聞を毎週2回(水、金)と月2回、8頁の土曜版を発行している。宗教を中心として、政治、文学、芸術、産業その他内外の諸方面にわたる幅広い報道・論評と話題の提供で躍動している。
紙面内容は、日本宗教界の政治(各教団の運営、教団連合機関の運営)、教学(宗学、仏教学、宗教学)、教育、布教、宗教関連産業(社寺建築、法衣、仏具等)、出版、芸術・文化、スポーツ、健康、行事(式典や催しもの)、また海外宗教界、宗教界と関係の深い国政、内外の宗教ニュース、解説、評論、学術論文、随想、詩歌、投稿(読者の声)等の掲載。(中外日報社HP)
内山完造が読んだ 「當時の中外日報」の記事
中外日報 昭和6年2月17日 第二面
「福州鼓山で夥しき 古版木を發見し 印刷して日本へ寄贈」
支那福建省福州の弘一法師は數年前には「四分律比丘戒相表記」なる著述を
石版にて印刷して知友の間に頒布した篤學な人であるが、此頃はまた道霈禅師の著書「華嚴經疏論纂要」(信解行燈四部各十二冊宛)計四十八冊一百三十卷の板木を福州鼓山湧泉寺の法藏より發見したので、之を福建特產の紙を以て印刷し最近上海内山書店の手を通して日本の東京帝大、京都帝大、大正大學、東洋大學、駒澤大學、立正大學、高野山、比叡山延暦寺、法隆寺、上野寛永寺、大谷大學、龍谷大學の十二ヶ所へそれぞれビール箱に詰めて發送した。此の板木は昨年三月弘一法師が蘇慧純居士といふ東京の美術學校卒業の書家と二人で鼓山に詣でた際に偶然に發見したものであつて、前清康煕十八年西暦紀元一六七九年己未の九月刋刻せられたもので、今日迄に二百五十一年を經過し支那現存の古經版中最古のものであるといふ。從來は北京清室の龍藏の雍正年製の版木を最古としてゐたのであるが、茲に更に之を抜いて古いものが出て來た譯である。そこで一寸本書の著者の經歷を調べてみると、
道霈禪師に就て
(▲表記は判読困難の字)