紀伊民報 2012年8月4日 声 読者の欄 |
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【白浜町のゴミケアーはすばらしい】
白良浜、権現崎、瀬戸、臨海浦、田尻、江津良を回ってゴミを拾い始めたのは、まだ梅雨が明けない6月下旬だった。朝6時、火ばさみとレジ袋を持って、高速歩行を始める。散歩の目的は、メタボ解消のためなのだが、白浜温泉が世界にほこるこの美景スポットには、訪れた人の余韻が必ず残る。その余韻を片付けるのが、もう一つの目的だ。余韻とは、ほかでもない、タバコの吸いがら、あめの包み紙、ストローのことだ。
梅雨が明けると、白良浜、臨海浦、江津良浜には、海水浴を楽しむ人がどっと来た。白浜温泉の住民としては、これが一番うれしい。よくいらっしゃいました、あのね、ここはデビューしたての勝新太郎と中村玉緒がロケをした場所ですよ、と遠来の客に言いたくなる。
人が増えると、ゴミも増える。そう思ってレジ袋を大きくしたが、意外なことに、ゴミは少しも増えない。それどころか、前の日拾い残した大きなゴミが、今日はなくなっている。つまり、美景スポットのゴミは、せいぜいタバコの吸いがらかあめの包み紙くらいなのだ。
なぜなのだろう。不思議に思いつつ、白いフィルターを見つけては、ストレッチをかねた前屈姿勢で拾っていた。そんなある日の朝、大きなナイロン袋を手に、しゃがみこんではゴミをかき集めている二人の男性を見た。江津良の浜でである。道路には軽トラックが駐まっていたから、白浜町が委託した人たちだとすぐに分った。
白良浜と臨海と江津良が受け持ちの二人は、毎日ゴミを集めて回り、浜辺の小さなゴミは手で拾うという。道路には道路の担当者がいて、椿から白浜までを巡回してゴミを拾っているという。だからなのか。私が拾い残したゴミが翌日には消えているのは。
けど、見落としがあって小さいゴミはなかなか片付けられないと、いかにも申し訳なさそうに言う二人のアゴからは、滝のように汗が流れていた。
大丈夫です。小さいゴミは任せなさい。
(久保卓哉)
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