2008年2月16日土曜日
高知県高岡郡窪川町志和に浜野春尾(ねえやん)を訪ねて 34年前 その二
黒石から志和への道は驚きの連続だった。一本道の道路は田と畑と山の間をくねくねと曲がり、曲がる先々に一、二軒の家が現れた。海に向かって南下しているはずなのに、だんだんと家が少なくなる。道はついに森の中へ突入し、木々の枝に触れながら進む。ひと曲がりするごとに道は下りに入った。ハンドルをもどすと、もう次のカーブのために逆に回さなければならない。いけどもいけども森の下り坂で、まるで断崖の迷路だった。
木々の間から下の方に海と集落が見えた。断崖の真下に集落がありそのすぐ前には海が迫っていた。そこがねえやんの故郷、志和だった。
志和にはねえやんの兄、年馬が住んでいる。志和へ行ったら、そこへ行ったらええ、とねえやんは言っていた。家と家の間の狭い道を行くと小さな空き地があり、そこに止めて車を降りた。少し路地を歩いてみよう。きょろきょろと左右を見ながら歩いていると角に男が立っていた。その男は私を見ると近づいて来て「お前か」、「来い」と言った。えっ、なぜ、とも思わなかった。きっとこのひとが年馬さんなんだろ、と思った。
角から入ると道は右に曲がり、すぐにまた左に曲がった。同じような玄関が並ぶ家の間を行くと、まもなく家の前に着いた。引き戸を開けると前を向いたまま、「上がれ」と言った。
【写真】昭和31年伝染病ジフテリアに罹患し古座川病院で九死に一生を得て退院 白浜に戻った私に会いに来たねえやん36歳 柳橋通りクボヤの前で 電信柱の後ろは正木自転車店 写真が切られているのは 財布の写真を見つけた中学の同級生がこっそり抜き出し いたずらして切ったもの
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