「一ケ月三十日は雨だと聞いたが、陰気な雨であつた」(林芙美子「屋久島紀行」)
「はア、一ヶ月、ほとんど雨ですな。屋久島は月のうち、三十五日は雨といふ位でございますからね……」(林芙美子「浮雲」)
屋久島は林芙美子がいうようにほんとうに雨が多かった。
どこを歩いても樹木、岩石、水流、屋久シカ、屋久サルのすがたがあった。
山間より流れる川は、安房川、宮之浦川、栗生川、永田川、黒味川、
小楊子川など、四方にひろがる。
樹木の種類を書きとめた芙美子の屋久島手帳には、
すぎ、もみ、つが、ひのきかや、いぬがや、あかまつ、くろまつ、
やくたねごよう、こなら、かしは、かしはなら、くぬぎ、くり、
つるまんりょう、やなぎ類、はんのき属など、二頁にわたって
樹木の名称がメモされている。
屋久島南端 平内海中温泉 |
縄文杉はもちろんだけれど露天風呂は屋久島にかかせない。
干潮のときだけ 露天風呂になるという野趣あふれる海中温泉。
午前11時すぎの干潮にあわせて下りて行くと、
おっちゃん2、老爺1,老爺の妻(着衣)先客でいて、
気軽に入れそう、と思つて、岩陰で脱衣していると、
もう一人、40歳くらいの女性が、小さい湯舟につかっているのを発見。
インド更紗のような布をからだに巻いて、海を見ていた。
女性は一人で来ているらしく、しばらくすると、お先にしつれいします
と湯舟からあがる気配。
声につられてふりむくと、
湯からあがったうしろすがたに
きていかった・! |
ぬれた布がはりついている。
きていかった・!
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