2016年1月18日月曜日

久保天以ていのてがみ 昭和44年11月 大学紛争の内ゲバを心配して

古い箱をあけると中に手紙が入っていた 捨てずにおいていたらしく 中学高校の友人からの手紙、ハガキにまじって 那智勝浦の久保ていからの手紙があった 文面は1969年に吹き荒れた大学紛争の内ゲバを心配したもので 明治の生まれだから「わ」を「王」と書き「す」を「春」と書き「て」を「天」と 変体仮名で書いている 


卓ちゃん御元気ですか
卓ちゃんニ手紙出すの王(わ)始(はじめて)です
何ニもみ知らぬ無學奈(な)私しが御願する事きいて下さい
卓哉の父が長い間卓哉のために大阪で家お借りて人お付けて勉強するため
何度も家お變つたの王(わ)卓哉がやかましくて勉強が出来ぬと云ふて
又家變り家お買ふてせい子お付けてまんまと大學ニ入れた
もう来年王卒業だと楽しく思て居る處學生のやり方が心配で々々で
私し王(わ)何ニもみ知らぬ無學の老人八十三歳ニなりますが
孫の卓哉がテレビお見てあの中ニまじつて居るのかと思ふと心配でたまりません
自分が気お付よと云われても人がナゲテクル石が卓哉の頭に当つたら何(どう)奈(な)るかと思ふと毎日心配でたまりません
學生のあばれる仲間ニは入らんとのかれられるものならのかれてほしいと
思ふてばかり居ります
とうぞいつわりお書かんと本当の事御返事下さい
冬休みニ王(わ)帰りますか
帰らんと云ふと又心配です
此の手紙着き次第返事下さい
卓哉ものり代も来年王(わ)卒業だと楽しく待つた居るのニ卒業出来ますか
こ▲▲あんな事おしてよいのですか
先生がやれと云ふのですか
長い間病気もせず仕合(しあわせ)たと㐂んで居るのニ今又此のソーゾー
身内の者王(わ)皆心配して居ます
御返事待ちま春(す)
             さようなら  
                祖母
卓ちやん